4月5日AM1:30

2002年4月5日
仮眠をとったオレ、体温の低下を感じつつ、寝ぼけまなこで一服。
間接の痛みと寒さにじえーたいの演習を思い出す。
それでもさっきより随分楽になったと、車を走らせる。
快調快調。
しかし、ガソリンのゲージは半分を切って示している。
どこまで行けるンだろ?
やっぱり兵庫と岡山で迷ったのが痛かったか。
不安を打ち消すことが出来ずに、広島で給油。
「1000円分」
財布にあった最後のお札を店員さんに渡す。
何処まで行ける?
心の中で呟きながら、量と距離を考える。
福岡まで辿りつけると何とかなる。
いざとなりゃあ、本でも売ってお金作るさ。
何となくお気楽に構えてみる。
気が少し楽になった。
山口に入ると、朝日が昇ってきた。
7時チョイ前。
ガソリンもあと5分の1ほど残っている。
何とかなりそうだ。
しかし、それは大きな間違いだった。
下関につくまでに、ガソリンゲージはエンプティーラインに抵触してしまったのだ。
早く関門トンネルを抜けたいがために、スピードを出し過ぎていたようだ。
当然、普通走行より燃費が悪くなる。
しまったー!と後悔しても遅い。
遅まきながら、ガソリンを気にしつつ関門トンネルを抜けていく。
朝8時30分、九州上陸。
ここでまた一つ、重大な誤算に気付く。
売る本はあるが、受けとってくれる場所はまだ開店していない!
何てこったとパニクりながら、とことこと車を走らせる。
そして、北九州を抜け出し、山田峠に着いたところで悲劇に襲われる。
一番止まってはいけない場所、岡垣トンネル入り口でのガス欠・・・悲劇、いや、喜劇の始まりであった。
トホホの状態でガソリンスタンドを探すオレ。
近くにはなかったので、消防署に駆け込む。
が、事情を話すが、官給品はどうしようも出来ないと拒否される。
それでも近くのスタンドに連絡をつけてもらうが、現金のない人間には売れない(まぁ、当然だな)と言外に言われ、トンネル抜けたトコに2,3件スタンドがあるからとアドバイス?をもらい、消防署を後に。
一度下った山を上り、今度はトンネルを歩いて抜ける。
しかし、抜けたとこにスタンドなぞなかった。
何処にあんだよ!
ひとりごちながら、テクテクと歩くこと30分。
ようやく一軒のスタンドを発見する。
「3月20日をもって弊店」と書かれた看板を見て立ちすくむ。
なんの冗談だよ?
疲れがドッと出てくる。
仕方なしに次のスタンドを目指して、再び坂を下るオレ。
5分ほど下るとスタンドの看板が。
セルフと書かれた看板に一抹の不安を抱きながら、責任者に事情を話して交渉。
掛売りは一切やりませんと、丁寧に断られる。
金がない奴は客じゃねえ。客じゃねえやつに売る商品はねえよ。
と言外に言われ、仕方なく他のスタンドに。
きぐOすの言葉を信じるなら、5分ほど下ったトコにもう1軒、スタンドがあるはずだった。
あった。10分ほど下ったとこに。
福岡教育大学の側、燦然と輝く出光が!
事情を話すと、本社に掛け合ってくれると言う、嬉しい言葉。
しかも1リットルのガソリンを分けてもらい、車をスタンドに持ってくるように言われる。
まだまだ捨てたもんじゃないぜ、日本の人情!
歩き回ってマメを5、6個つくり、重たくなった足取りを少しだけ軽くしながら、オレは再び山を登ったね。
スーツに革靴姿で。
車に辿りついたオレは、早速ガソリンをタンクに流し込み、出光に向かって出発した。
驚いたことに5分とかからなかった。
出光で待っていた言葉は、本社から拒否されてしまったので、協力できないというものだった。
尽力していただいた責任者の方(顔を出し辛かったのか、最後は顔も見せてはくれませんでしたが)ありがとうございました。
とりあえず移動できるようになったので、福岡に向け車を走らせる。
時間的にBOOK OFFが開いていたので、虎の子の「修羅の門全31巻」と「修羅の刻1〜10巻」を泣く泣く売りに。
28冊が売れて、しめて640円なり。
無け無しのお金を握り締め、出きるだけ安いスタンドを探す。
そしてまたガス欠。
リッター86円だったが、反対車線のあった中途半端に遠いスタンドまで再び徒歩。
今度は元気良く「500円分下さい!」(この時にはもう金銭の感覚が麻痺している)と笑顔で言った。
「容器のレンタルは保証金を1000円預かることになってます。もちろん容器の返却があれば保証金はお返しします」
若いお兄ちゃんに笑顔で言われ、オレの笑顔が凍りつく。
「ごめん。この500円しか持ち合わせがないんよ」
そう自信たっぷりに答えたオレに、今度はお兄ちゃんの笑顔が凍りつく。
あたふたと店内に駆け込み、責任者の人と話して戻ってくる。
「免許書のコピーがあれば良いそうです」
一斗缶に約5リットルのガソリンをもらい、車の所までまたまた徒歩。
当然、すぐに容器を返却。
「暑い中大変でしたね」
皮肉だろうが、おためごかしだろうが、嬉しくないはずがない労いの言葉に、笑顔も思わず爽やかになろうってもんだ。
そして、宛にしている元同僚のアパートへ。
夕方5時。
残念ながら外出のようだったので、しばし車で休憩。
足が痛いのなんの。
元彼女に電話を・・・とも考えたが、それは流石に思い留まった。
何時の間にか眠っていたようだ。
夜10時過ぎに目覚めると、元同僚のバイクが。
何だよ、帰って来たなら起せばいいのに。水臭い。
「気持ち良さそうに寝てるから、起すの悪いと思って」
そんな答えが返って来るだろうと予想しながら、痛い足を引きずって部屋の前に。
ノック3回目で玄関に近付く足音。
「よう!」
ドアが開くと同じに90度の角度で手を上げ、ニカッと笑う。
見ず知らずの誰かに。
・・・?????
「誰だ。あんた」
きょとんとする相手の顔を見つつ、すごい失礼な言葉を口にしてしまうオレ。
「なんでしょう?」
おどおどとオレを見ている相手に、合点がいった。
「おー・・・戸O田くんの友人の」
「あ、はい。そうです」
「で、どこ?」
「あ、彼は今岐阜に行ってます。帰りは29日くらいになると言ってましたが」
・・・思いっきり、宛が外れました。

再びガソリンの心配をしながら、実家への道をトボトボと走る車の中で、
「何てこったい」
という言葉が虚しく響いていた。

何はともあれ、午前0時30分、オレは車がいつ止まってもおかしくない状況で、無事生還を果たした。


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