記念日記(その4)「北の国から 第1話」
2002年4月12日18歳になるのを待ってじえーたいに入隊したオレ。
長崎では何気に生活し、3ヶ月後には北の大地への転属が決まった。
久しぶりに飛行機だ〜と思うのも束の間、深い緑色のずんぐりした輸送機に積め込まれたオレたちは、固いシートと寒さにイジメられ、同乗したレンジャーのおっさんたちに弄ばれながら、漸く着いた千歳空港で吹雪の歓待を受けた。
「あと1時間遅かったらヤバかったな」
にこやかに幸運を強調しながら、輸送機を降りていくおっさんたち。
電車で駐屯地へ向かうという、案内役の3曹に付いて駅へと向かうオレは、ホームで買ったウニいくら丼に感動の涙を流していた。
すでに日はとっぷりと暮れ、街の灯りが眩しく天を照らしている。
心地よい揺れを感じながら、電車は次々と駅を駆け抜け、灯りはどんどん減っていった。
「何処へ連れて行かれるんだろう・・・」
しばらく闇が続き、時折生活の灯が瞬くと、再び闇に戻る。
長い時間それを繰り返し、闇の中で唐突に電車が止まった。
「着いたぞ」
という声に振り返ると、弱々しい電気に照らされた、駅のプラットホームがあった。
電気は通ってるんだと、当り前のことに安心したオレたちは、駅というにはこじんまりし過ぎた駅に呆然と佇む。
「・・・」
促されるまでたっぷりと5分はかかっただろうか。
斜度45度はあろうかという凍った階段を降り、タクシーを拾う。
やあ、街は明るい光に溢れている。
妙なテンション(笑顔だが目は据わっている)でぎこちない会話を重ね、タクシーは闇に向かって疾走する。
「・・・」
すでに無言のオレたちを、疲れたせいだろうと良い方に解釈した案内役は、今日はゆっくり休めと言葉をかけてきた。
駐屯地に着いたオレたちは、担当者の出迎えで部屋に案内され、先に到着していた同期と対面する。
こうしてオレは、のっぴきならない場所へ行き着いた。
2日後、オレが危険人物との噂が隊内に広まり、一番年下であるにも関わらず、接してくるみんなの態度が妙にへりくだったものに変わっていた。
長崎から一緒の同期を捕まえ、笑顔で「どゆこと?」と聞くと、誇張なしに事実を伝えただけだ(どうもイジメの的にされる所だったらしい)という。
そうすると、こいつは一応恩人になるわけだと、胸倉を掴んだ手を解いてとりあえず礼を言う。
そのおかげで、
「お前むちゃくちゃな奴だってな」
と、言外にオレも同類だと言ってくる勘違い野郎を除いて、概ね過ごし易い環境となった。
その3日後、それは来た。
鉄で出来た2段ベッドの下に眠るオレは、急に寝苦しさを感じて目を覚ました。
この嫌〜な感じは・・・。
咄嗟に目を開けないように、薄目で周囲を伺う。
いた。
オレと隣のベッドの間、ちょうど人が立てばその辺りにくるだろうところに、しょぼい感じのおっさんの首が。
俯き加減に浮かんでる〜。
目を閉じ、
「うわ、ヤッベーよ。ちくしょー、ふざけんなよ」
心の中で口汚く罵りながら、何時の間にか本気で寝ていた(笑)
翌朝、担当官を捕まえて問い詰める。
「幽霊なんかいるわけないだろう」
ちょっと岡本信人が入った担当官は、にこやかに否定したが、
「高木ぶー似の男です」
そう言った瞬間、笑顔が凍りついた。
「あのな、あちこちで見たっていうなよ?」
そう前置きして語ったことは、隣の物乾場(乾燥室)で3年前に死んだ人がぶーさんに似た隊員だったそうな。
オレはすぐに物乾場に行き、
「2度と出てくるんじゃねー!」
と文句を言ってやった。
それから出なくなった(笑)
しかし、相変わらず出ている奴もいる。
4階の倉庫をスキーを履いて走り回る奴である。
やかましいことこの上ない。
でも担当官に聞いても、こいつの素性は知らなかった。
長崎では何気に生活し、3ヶ月後には北の大地への転属が決まった。
久しぶりに飛行機だ〜と思うのも束の間、深い緑色のずんぐりした輸送機に積め込まれたオレたちは、固いシートと寒さにイジメられ、同乗したレンジャーのおっさんたちに弄ばれながら、漸く着いた千歳空港で吹雪の歓待を受けた。
「あと1時間遅かったらヤバかったな」
にこやかに幸運を強調しながら、輸送機を降りていくおっさんたち。
電車で駐屯地へ向かうという、案内役の3曹に付いて駅へと向かうオレは、ホームで買ったウニいくら丼に感動の涙を流していた。
すでに日はとっぷりと暮れ、街の灯りが眩しく天を照らしている。
心地よい揺れを感じながら、電車は次々と駅を駆け抜け、灯りはどんどん減っていった。
「何処へ連れて行かれるんだろう・・・」
しばらく闇が続き、時折生活の灯が瞬くと、再び闇に戻る。
長い時間それを繰り返し、闇の中で唐突に電車が止まった。
「着いたぞ」
という声に振り返ると、弱々しい電気に照らされた、駅のプラットホームがあった。
電気は通ってるんだと、当り前のことに安心したオレたちは、駅というにはこじんまりし過ぎた駅に呆然と佇む。
「・・・」
促されるまでたっぷりと5分はかかっただろうか。
斜度45度はあろうかという凍った階段を降り、タクシーを拾う。
やあ、街は明るい光に溢れている。
妙なテンション(笑顔だが目は据わっている)でぎこちない会話を重ね、タクシーは闇に向かって疾走する。
「・・・」
すでに無言のオレたちを、疲れたせいだろうと良い方に解釈した案内役は、今日はゆっくり休めと言葉をかけてきた。
駐屯地に着いたオレたちは、担当者の出迎えで部屋に案内され、先に到着していた同期と対面する。
こうしてオレは、のっぴきならない場所へ行き着いた。
2日後、オレが危険人物との噂が隊内に広まり、一番年下であるにも関わらず、接してくるみんなの態度が妙にへりくだったものに変わっていた。
長崎から一緒の同期を捕まえ、笑顔で「どゆこと?」と聞くと、誇張なしに事実を伝えただけだ(どうもイジメの的にされる所だったらしい)という。
そうすると、こいつは一応恩人になるわけだと、胸倉を掴んだ手を解いてとりあえず礼を言う。
そのおかげで、
「お前むちゃくちゃな奴だってな」
と、言外にオレも同類だと言ってくる勘違い野郎を除いて、概ね過ごし易い環境となった。
その3日後、それは来た。
鉄で出来た2段ベッドの下に眠るオレは、急に寝苦しさを感じて目を覚ました。
この嫌〜な感じは・・・。
咄嗟に目を開けないように、薄目で周囲を伺う。
いた。
オレと隣のベッドの間、ちょうど人が立てばその辺りにくるだろうところに、しょぼい感じのおっさんの首が。
俯き加減に浮かんでる〜。
目を閉じ、
「うわ、ヤッベーよ。ちくしょー、ふざけんなよ」
心の中で口汚く罵りながら、何時の間にか本気で寝ていた(笑)
翌朝、担当官を捕まえて問い詰める。
「幽霊なんかいるわけないだろう」
ちょっと岡本信人が入った担当官は、にこやかに否定したが、
「高木ぶー似の男です」
そう言った瞬間、笑顔が凍りついた。
「あのな、あちこちで見たっていうなよ?」
そう前置きして語ったことは、隣の物乾場(乾燥室)で3年前に死んだ人がぶーさんに似た隊員だったそうな。
オレはすぐに物乾場に行き、
「2度と出てくるんじゃねー!」
と文句を言ってやった。
それから出なくなった(笑)
しかし、相変わらず出ている奴もいる。
4階の倉庫をスキーを履いて走り回る奴である。
やかましいことこの上ない。
でも担当官に聞いても、こいつの素性は知らなかった。
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