生まれて初めてスキーと言うものを経験し、倒れては起き、木にぶつかっては大笑いし、嬉々として山を駆け登り、
「こんなに楽しそうにコケる奴も珍しい」
と言わしめ、
「恐怖心がないのか」
と呆れられた教育課程も終わり、ようやく一般部隊への配属が決まる。
廊下の対極にある4中隊が、新しいオレの住処となった。
班長と初対面を果たしたオレは、
「お前か〜。最後まで引受け手がなかったから、仕方なくオレが貰ってやったんだぞ」
と、有り難い(怒)言葉を頂戴し、営内班に案内される。
「やんちゃ坊主だってな?」
入るやいなや掛けられる言葉に、
「え〜ボク大人しい子ですよ〜」
と笑顔で答え、
「大人しい子がそんな堂々と答えるか」
の声にモジモジして見せる。
「物怖じせんガキっすね、班長」
「鍛えてやれや」
笑顔の遣り取りがあって、どうやら認められたらしいと感じる。

次の日、相変わらず喧しい倉庫の男の話しを、先輩に尋ねる。
妙に言葉を濁し、黙り込む先輩たち。
埒が明かず、班長に聞く。
「何でもかんでも聞くな。世の中には知らないで良いこともあるから」
怖い顔で諭すように言う班長。
「害がないっていっても、一応お払いくらいしたらどうです?」
「したんだよ」
「はぁ?」
「一昨年にお払いしたの!」
それでこの有様かい。どこの高僧に頼んだんだか。
「だからもう言うな」
哀願っぽく言われれば返答のしようもないでしょうが。
で、とりあえず倉庫の幽霊はほったらかしに決定。

しかし、この駐屯地、素晴らしいくらいにあちらこちらに幽霊目撃情報がある。
しかも皆それを伏せる。
オレが観て、問い詰めると白状するの繰り返し。
オリエンテーリングかっちゅーの!
そんなこんなで数えてみました。
1、教育隊の高木ぶー
2、倉庫のスキーヤー
3、幹部食堂のおっさん
以前食堂の壁に8の写真が飾られていたが、そりゃあ非の打ち所もない、立派な心霊写真だったもんで、すぐに撤去され、代わりに下手クソな油絵が飾られるようになったが、このときくらいから、幹部食堂に座っているおっさんが目撃されるようになった。
写真と一緒に帰れよバカ野郎って感じ。   
4、弾薬庫の女性(何故?)
正確には、弾薬庫の上から見る国有地に佇む女性。
顔にすごい火傷のあとがあって、冬でも花柄のワンピを着ている、あまり目の前に出て欲しくない。
5、銃剣道場横の第三者
誰と言うこともないが、巡回警備中に後を付けてくる影の人。
柔剣道場横の木にぶら下がった人みたい。
6、来賓宿舎の女性(だから何故?)
寝てたら覆い被さってくるという、羨ましい経験ができる。
何故かオレが泊まるように指示され、3泊までしてみたが、どうやら振られたみたい。
おや、七不思議には一つ足りないか。
おまけに、駐屯地外のも数えよう。
7、何かが吸い込まれている神社(鳥居)
黒いものがすっごい勢いで鳥居に呑み込まれていた。
何だッたんだろ?
8、すごくヤバイ断崖の山。
飛び降り自殺は多いは、訓練中のレンジャー隊員は死ぬはで、それはすごいところ。
写真を撮れば、100%の確立で心霊写真になる。
しかも憑いて来る!
9、その下の公園。
飛び降りた自殺者が、良い具合に引っかかる鉄柵が、蒸気機関車を囲んでいる。
以前は黄色い柵だったが、頻繁に飛び降りるものだから赤く塗り直したという曰く付き。
風もないのによくブランコが揺れている。
10、町外れの道全部。
網走の囚人さんたちが開拓してくれたもの。
御亡くなりになった方々が、そっと埋められている。

どうヤバイって、随分前、当時ブレイク中の宜O愛子が、電車を降りれなかったくらい、この町はヤバイらしい(笑)

未だに熊が町中に出るっていうんで、違う意味でもヤバいようだ。


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