未だ成されない一つの形
2002年6月22日遠くから子供の泣く声が聞こえてくる。
生まれたばかりの赤ん坊の声だ。
何かを伝えようと、必死に泣いている。
何故泣き止まないんだろう・・・?
何故誰も抱いてあげないんだろう・・・?
傍にいるよって、抱きしめてあげればいいのに。
赤ん坊の声が大きくなってくる。
泣かないで。オレはここにいるよ。
闇の中で赤ん坊を捜す。
泣いている赤ん坊を抱き上げるために。
「ごめん、起こしちゃったね」
ふと目を覚ますと、どこからか女性の声が遠慮がちに降ってきた。
声の方に視線を向けると、逆光でシルエットになった女房が、赤ん坊に母乳を与えていた。
「あぁ、腹が減ってたんか」
「うん。よく飲んでるよ」
表情は見えないものの、幸福感に満ち溢れた声音がすべてを物語っている。
「そっか・・・これだけは代わってやれないもんなぁ。ごめんな」
女房が洩らす含み笑いを心地よく聞きながら、オレは再びまどろみの中に埋もれていった。
目覚まし時計の音に蹴起こされ、オレはあまり爽快とは言えない朝を迎えた。
9時21分。
寝ボケた目で女房と子供を捜す。
っていうか、そんなもんいる筈がない。
オレは独身だっての(笑)
すぐに夢だと気付いて、自分のはんかくささに呆れる。
そして、現実の自分の姿にやるせないものを感じていた。
少なくても、夢の中の自分は、現実では味わえない幸福感に浸っていた。
家族がいる構図は、それだけで幸せの形だった。
「なんで」
言葉が口からこぼれ出た。
生まれたばかりの赤ん坊の声だ。
何かを伝えようと、必死に泣いている。
何故泣き止まないんだろう・・・?
何故誰も抱いてあげないんだろう・・・?
傍にいるよって、抱きしめてあげればいいのに。
赤ん坊の声が大きくなってくる。
泣かないで。オレはここにいるよ。
闇の中で赤ん坊を捜す。
泣いている赤ん坊を抱き上げるために。
「ごめん、起こしちゃったね」
ふと目を覚ますと、どこからか女性の声が遠慮がちに降ってきた。
声の方に視線を向けると、逆光でシルエットになった女房が、赤ん坊に母乳を与えていた。
「あぁ、腹が減ってたんか」
「うん。よく飲んでるよ」
表情は見えないものの、幸福感に満ち溢れた声音がすべてを物語っている。
「そっか・・・これだけは代わってやれないもんなぁ。ごめんな」
女房が洩らす含み笑いを心地よく聞きながら、オレは再びまどろみの中に埋もれていった。
目覚まし時計の音に蹴起こされ、オレはあまり爽快とは言えない朝を迎えた。
9時21分。
寝ボケた目で女房と子供を捜す。
っていうか、そんなもんいる筈がない。
オレは独身だっての(笑)
すぐに夢だと気付いて、自分のはんかくささに呆れる。
そして、現実の自分の姿にやるせないものを感じていた。
少なくても、夢の中の自分は、現実では味わえない幸福感に浸っていた。
家族がいる構図は、それだけで幸せの形だった。
「なんで」
言葉が口からこぼれ出た。
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